初回の打ち合わせで質問攻め。
理解したいという気持ちが伝わった
本日は、最初のご依頼から現在に至る、御社の活動と5iveのサポート内容について振り返りができればと思います。まずは、最初に連絡をいただいた2018年当時の、御社の状況から教えていただけますか?
奥:はい。当時は弊社の新しい造船計画(のちのQUEEN BEETLE)の完成に合わせて、準備を進めていた頃です。船が変わり、お客さまに提供できる体験も大きく変わるため、総合的な情報展開をともに考えてくれるパートナーが必要でした。予約サイトのリニューアルも決まっていたため、大型の案件も任せられる、信頼できる作り手さんを探していた状況です。
なるほど。
奥:弊社の場合、情報発信や制作を行う際は、まず代理店に頼むのが通例でした。しかし、それでは作り手の方たちの顔が見えずに、真意が伝わらなかったり、やりとりに無駄が多いとも感じていました。
そんな中で、私たち(当時は金子の個人事務所カネコデザイン)を見つけていただいたきっかけは?
奥:業界関係者の方から、福岡で評判のいいWeb制作会社やフリーランスの方をご紹介いただいて、順にサイトを覗いていきました。カネコデザインのサイトに「情報整理が得意です」と書かれていて、「直接会って話を聞いてみたい!」と思いすぐに連絡しました。というのも、当時はデザインが得意と掲げているところが多く、その中で「情報整理」というワードが印象に残ったんです。
打ち合わせをしてみた感触はどうでしたか?
奥:最初の打ち合わせの時に、金子さんからの質問がとても多かったのを覚えています。それまでの制作会社は、こちらが一から十まで説明して、「そのまま作ります」という感じだったので。
金子:初回はどうしても質問が多くなってしまいますね。受け身でオリエンを受けるだけだと、本当は何がしたいのか、見えてこなかったりしますから。
奥:最初にLPの制作を依頼しました。そのやりとりや出来あがりにも満足できて、これは長く付き合えるパートナーを見つけられたかも、と感じたんです。その辺りから、徐々に関係を深めていきました。
金子:まだ具体的な仕事が決まる前の段階で、韓国の釜山に連れて行ってもらいましたね。「とりあえず観に行きましょう」と、ホテルから食事まですべて手配いただいて、嬉しかったのを覚えています。
奥:まずは実際に体験していただき、船や釜山のファンになってもらうことが大切と考えていたので、面接のような意味も込めて、お連れしました。欲張って予定を詰め込んだので、歩かせすぎちゃったかもしれませんが(笑)
金子:すべてが新鮮で楽しかったんですが、後半は足が棒になってましたね(笑)
外部のメンバーも交えて
最適なチームを作るのが最初の仕事
その後、船内で配る釜山ガイド冊子のリニューアルに着手した、と。
金子:カメラマン、デザイナー、ライター、モデルさんなど外部の協力者たちも含めた大勢のチームで、釜山を取材して回りました。
奥:私としては、クリエイターの皆さんがとても楽しそうに仕事をするのが、印象的でしたね。お互いを理解し、信頼しながら仕事を進めている感じが伝わってきました。5iveさんの社内だけでなく、外部のクリエイターも個性的なメンバーで。
金子:そうですね。私たちが大事にしていることのひとつに「最適解」があります。目標達成のための最適なチームを組むことが、まず最初の仕事だと思ってるんです。
奥:実際、出来上がった冊子はこれまでのものと全く違うものになりました。ページ数を絞り、情報量も減っているのに、ストーリー性があって共感できる要素が多い。かつてないスピードで冊子がはけ、増刷もしました。「うちの会社でもこんな今っぽいものが作れるんだ」と、社内の評判も良かったんです。これまでのイメージを刷新することは、新しい船のリリースにも必要でしたので、QUEEN BEETLEのWeb関連のプロジェクトもそのまま5iveさんにお願いしたいとなりました。
奥:新しい船が完成したことを伝える、特設サイトの制作もお願いしました。ここでも、見る人の視線の流れを意識したサイト設計やムービー制作など、これまでにない案を実現できましたね。
金子:「移動中から楽しめる船」というQUEEN BEETLEのコンセプトを最初にお披露目する機会ですから、そのことをわかりやすく伝える視覚表現から考えていきました。動画は、構成やデザインまでを5iveで行い、映像化する部分はパートナー企業に外注。ここでも「最適解」を追求することができたと思っています。
伝えたいことが多すぎて伝わらない。
どう整理するか、からお任せした
本サイトリニューアルの要件を、改めて教えていただけますか。
奥:まず、旧サイトは情報量が多すぎて、伝わっていないという課題がありました。弊社の高速船事業は、公共性のあるサービスかつ国際航路でもあるので、港のアクセスから乗船方法、運航スケジュール、料金に注意事項と、伝えるべき情報がとても多いんです。それに加えて、QUEEN BEETLEという新しい船が走ることになり、料金もサービス内容もガラッと変わります。ですから伝えるべきことの優先順位や、わかりやすい表現が必須でした。
金子:とにかく、正確な理解と情報整理に多くの時間を使いましたね。お客さま目線でのわかりやすさやUX、また社内での更新作業のしやすさなど、全方位に気を配りながら進めていくプロジェクトでした。海外のサーバーを使った予約システムとの連携なども、苦労した点です。
奥:そこは、私たちも専門知識がない中で、丸ごとお任せしてしまいました。素材の整理もままならず、資料をごそっとお渡ししたりもして、さぞお手間をかけたと思います。
金子:いえいえ、情報整理は得意分野ですから(笑)
リニューアルの効果は、どのように出ましたか?
奥:それが、QUEEN BEETLEという新しい船が完成し、2020年7月からの運航に向けて1月にサイトもオープンできたのですが、3月上旬(9日)にはコロナにより、運航計画がストップしてしまいました。その後も、運航再開の目処は立たず、サイトとして十分活用できてはいません。それでも、社内のシステム担当者からは管理がしやすいといい反応を得ています。今後、船が本格始動してからがサイトの本領発揮となると思うので、楽しみですね。
内製化はやめて、餅は餅屋に。
目線の異なる提案が、自分たちをも向上させる
改めて、5iveの特徴や魅力、依頼して感じたことなどを教えてください。
奥:5iveさんのいいところは、こちらの状況や環境をよく理解した上で、ちゃんと意見してくれて、納得感のある答えを出してくれるところ、でしょうか。私の経験では、通常の制作会社の場合、何か制作を依頼してもこちらがオリエンした以上のものにはならないことがほとんどでした。だから、デザインできる人を抱えて内製化する動きもあったんです。でも、5iveさんからは、社内とは全く違う目線で提案をいただき、いつも発見がありました。やはり「餅は餅屋」だなと感じましたね。
金子:ありがとうございます。お客さんが困らないようにしたいというのは、5iveのメンバー共通の思いです。「お客さまに寄り添う」というと聞こえはいいのですが、言いなりになるとお客さんが困ることにもなりますから、伝えるべきことはしっかり伝えます。
奥:その姿勢が社内にも影響して、仕事の向き合い方が変わったと感じます。これまではLP1本作るにしても、とりあえず形にできればよくて、あとは費用をどれだけ安くできるかという考え方でした。でも今は、LP1本のクオリティや、それがもたらす効果を知っているので、良いものを作ろうという意識が社内に芽生えてきています。良いものを作る中での適正なプライス感が、わかってきたところです。5iveさんのおかげで、ようやく違いのわかる男になれたかなと(笑)
金子:(笑)。我々も、御社の仕事のおかげで、韓国の魅力にどっぷりハマりました。世界を広げていただいて、ありがとうございます。韓国便の運航再開は、チーム一同待ち望んでいますし、またいろんな施策をお手伝いできることを楽しみにしています。
本日はどうもありがとうございました。
- 取材・文
- 佐藤渉
担当者コメント
金子 洋介
現在はコロナの影響で国際線は止まっていますが、また運航が開催されれば、みなさんの韓国旅行を豊かにするお手伝いを一緒に行っていきたいと考えています。
今回インタビューをさせていただき、「何が重要とされているか」「どのタイミングでどう評価して頂いているか」など、新たな発見もありました。